女の憂鬱
01: 名前: 投稿日:2024/04/18(木) 17:27
コツッ…コツッ…コツッ…コツッ………
6月中旬の昼下り、梅雨の中休みの強い陽射しの中を急ぎ歩く。
高い湿度のせいで背中と胸の間を汗が伝い落ちる。
ただでさえ不快なこの季節、着る物は見た目に拘りたい。
水色のスーツを嫌味なく着こなして颯爽と歩く姿は、見る者に爽やかな風を吹きかける。
広川由希子は吹き出す額の汗をメイクが落ちないようにハンカチで抑え、顧客の待つ場所へと点滅の始まった横断歩道を小走りに渡った。
「今日はお時間を取っていただいて、ありがとうございました。追ってご連絡いたしますの
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2: 名前:無名作家 投稿日:2024/04/22(月) 17:30
<2>
窓から射し込む強い西日のせいで、顔をしかめなければならなかった。
飲食業に就く者として、休日が平日になるのは仕方がない。
でも混雑しない映画館に入れるのは好都合でしかなく、今日もその帰りの道中の電車に乗車していた。
坪井修は勤めるカフェの公休日に楽しみにしていた映画を観ようとしていたのに午前は寝坊してしまった。だから午後から観るしかなくなって、帰宅ラッシュの真っ只中にいるのだった。
空いている時間帯の電車内は空調が効いて快適なのに、この梅雨時の満員電車は不快極まりない。
不意に左
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