ノストラダムスと脱童貞
◯序章
1999年7月。
ノストラダムスの大予言に沸いた世紀末。
人類滅亡の気配は見えず、地球は元気に自転を続け、宇宙からのアンゴルモア襲来を告げるNASAの発表は今日もない。
19歳を迎えた僕は未だ童貞のままだ。
言い訳がましく言うならば、こんな僕とて女性に全く縁が無かった訳ではなく、何なら僕を好きだと言ってくれたバイトの後輩女子も居るには居た。
だが僕は未だ童貞のまま。この頃の僕は男子校上がりの悪影響から『女慣れ』しておらず、女子を前にすると極度に緊張して何も話せなくなる。
話題がスベったらどうしよう
嫌われたらどうしよう
不要な逡巡が僕の頭を真っ白に塗り潰す訳だが、まあ言ってしまえば意気地が無かったのである。
とはいえ、童貞のまま人類滅亡を迎えるのは絶対に嫌だ。今のところ人類滅亡の気配は薄いが、可能性がゼロで無い以上、童貞のままでいるのは危険だ。
この頃の僕は真剣に悩み、童貞を捨てるべくソープランドの門戸を叩く事にした。
◯ソープランドへ
1999年7月某日 午後。
天気 快晴。
バイトで貯めたお金を握り締めて、エロ本の中だけだった異世界である台東区某所のソープ街に僕は初めて降り立った。
焼けたアスファルトから溶けたタールの臭いが漂う程の炎天であるが、古びた雑居ビルの様なソープランドの建物の前だけは丁寧に打ち水がされており、掃除もされているようだ。
僕はブラジルのスラム街の様な風景を想像していたので意外さに驚いていたが、「カモを見つけた!」と言わんばかりに四方八方から湧き出したパンチパーマの集団にあっと言う間に取り囲まれる。
「兄ちゃんソープかい?若い娘いるよ!」
「ウチは安いよ!12000円!」
「おっぱい好きでしょ?おっぱい大きい娘いるよ」
パンチパーマはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら各々店のアピールをしてくるものの、それぞれが微妙に胡散臭い。
僕は引き攣った顔でパンチパーマ達を無視して、手近な店に飛び込んだ。
総額12000円…。幸か不幸か激安ソープである。
「いらっしゃい。兄ちゃん初めて?」
受け付けの奥から別のパンチパーマが現れ、店のシステムについて説明を始める。
男が言うにはこんな感じだ。
・写真なし
・指名の場合は2000円プラス
・時間は60分12000円、90分18000円、120分23000円。
「じゃあ90分で…指名は無いです。できるだけ若い娘をお願いします…」
「はいよ。じゃあ前金で」
男に金を渡すと僕はカーテンで仕切られたソファが置かれた2畳ほどの部屋に通され、ここで麦茶を飲みながら女の子を待つように指示される。
「アリサさん、ご新規お願いします」
待つこと数分。
僕の前に『アリサさん』がやってきた。
◯アリサさん−その1
緊張。頭の中が真っ白になる。
エアコンは寒い程効いているのに汗ばみ、ドキドキと鼓動が早まり、口の中がやけに渇く。
僕は受け付けのパンチパーマに渡された麦茶を口に含みゆっくり噛む様に飲み込む。
そんな事をしている内に仕切りのカーテンがひらりと軽いテンションで開き、僕の前に『アリサさん』が登場した。
すけすけのピンクのベビードールを纏う…
カーリーヘアがファンキーな…
熟女。
アリサさんは年齢は50代といったところだろうか。
当時の僕の母と同年代だろう。
下を向いたふくよかな乳房の先にある黒い乳首がベビードール越しに透けて見えている。
僕がアリサさんに抱いた第一印象は『友達のおかん』だが嫌な感じはしない。
僕はアリサさんに連れられて個室に移動する。部屋はさほど広くなく、6畳半程のベッドルームに同じ程の広さの浴室、トイレと洗面台がある。
ベッドルームは特にラブホテル的な演出がある訳でもなくどちらかと言えばビジネスホテルに近い。一方で浴室はラブホテルの風呂そのものだ。
僕が部屋を見回して立ち尽くしていると、アリサさんは僕が不慣れ(童貞)である事を察したのか、僕をリードしてくれる。
「君、こういう所初めて?」
「はい…」
「そっかぁ、こんなおばちゃんでいいの?」
「はい…」
「ありがとう。若い子なんて久しぶり」
「そうなんですか?」
「こういう所はおじいさんが多いのよ」
アリサさんはニッコリと笑いながら僕の服を脱がせて全裸にすると、自らもベビードールとパンティを脱ぐ。
ぽっこり出た下腹と垂れた胸。黒い大きめの乳輪と少し伸びた乳首。肌は白くもちもちしていて、陰毛が薄く肉厚な土手の中央に破れ目が走っている。
「若い子に見せるは恥ずかしいんだけどね。先ずはお風呂入ろっか」
僕はアリサさんに導かれて浴室に移動した。
◯アリサさんその2
浴室に移動すると、アリサさんは片手にシャワーを持ち、僕に湯を当てながら薄く硬い唇を僕の唇に重ね、唇の感触を味わう間もなく、消毒の匂いがするアリサさんの舌が僕の口腔に侵入し、僕の舌を絡め取る様にべろべろと僕の口を犯す。
「ん…うふっ…んんっ…」
僕は女性に口を犯されながら不覚にも喘いでしまいちんぽは情けなく勃起する。
「ふふっ」
アリサさんは少しサディスティックな笑みを浮かべながら僕のちんぽを握り、更に僕の口を犯す。
これが僕のファーストキスだった。
アリサさんは僕の身体を一通り流し終えるそっけなく僕から離れ、座面が大きく抉れた金ピカの椅子…所謂【スケベ椅子】を取り出して腰を下ろす様に淡々と指示をする。
「じゃあそこ座ってね」
「あ…はい」
流れ作業…アリサさんの動きにはまるで無駄がない。間までもが全て計算されている。
僕がスケベ椅子に腰を下ろすと同時にアリサさんは泡がついた垂れパイでむにゅむにゅと僕の背中を洗う。
腕を洗う時は、伸ばした僕の腕をアリサさんが跨ぎ、泡がついたまんこで洗う。
下半身はスケベ椅子の割れ目にアリサさんが手を突っ込み、肛門から裏筋、金玉を洗った後に勃起した竿をしごき洗いする。
全てがバカバカしく、全てが完成されている。
こうして僕は全身を泡まみれにされるが、全身を洗い終えるとアリサさんはサッとそれを流し、「じゃあ湯船に入って」と先刻と同様に、何事も無かった様に淡々と僕に指示を出す。
童貞の僕には「あ…はい。」と答えるのが精一杯であった。
僕が
◯アリサさんその3
僕が湯船に入るとアリサさんも追って入ってくる。
湯船は大人2人が向き合って入って丁度いいくらいの広さで、恐らくはソープランド向けの特注品なのだろう。正に船底状に傾斜が付いていて深く寄り掛かれるように設計され、より頭を心地良く収める為に角が丸く削れている。
「ふあ〜…」
僕は目を閉じ、風呂の心地よさに一瞬気を取られるが、再び開いて現状を思い出す。
女性との混浴は幼少期に母親と入って以来であったが、今目の前に居るアリサさんはその”母親”と同年代であるので何だか妙な気分である。
僕は再びアリサさんにキスを求めると、アリサさんはそれに応じてくれる。僕はアリサさんを抱き寄せ、乳房に触れながら暫くキスをするが、今度のキスは温かく柔らかく、無理に舌を捩じ込む事も無かった。
「ん…んん…」
アリサさんから熟女の掠れた素の喘ぎが漏れるが、アリサさんは自分を取り戻すかの様に、「ちょっと後ろに寄り掛かって」と再び僕に指示を出す。
僕は指示通りに湯船に寄り掛かると、アリサさんはひょいと僕の尻を持ち上げて僕の下半身を浮かせ、勃起した赤黒いちんぽだけが湯面からひょっこりと顔を覗かせた。
潜望鏡…というやつである。アリサさんは上目遣いで僕を眺めながら、顔を出したちんぽをパクりと口に咥える。
ズゾッ!ズゾゾッ!じゅぼっ!!
アリサさんは僕と視線を合わせたまま、大袈裟な音を立てて僕のちんぽを吸い、その口腔内で舌を巻きつける。
「んっ…あっ…ちょっ…待って…」
そもそも僕は童貞で全てが初めて。当然フェラチオもアリサさんにされたこのフェラチオが初である。
「やば…あっ…ダメダメダメダメ…」
形容しがたい快感は肛門の奥から前立腺を抜けて亀頭迄を一気に走り抜ける。
僕は慌てて肛門を締めるが既に間に合わない。
「ああんっ!出っ…」
びゅるっ…びゅるっ…びゅるっ…
僕のペニスは激しい快感を伴いながら何度も脈打ち、アリサさんの口腔内に粘度の高い精液を吐き出した。
アリサさんは窄めた口を一旦開き、舌の上に出された精液を僕に見せると再び口を閉じ、ゴクリと飲み込むと空になった口腔をまた見せた。
僕は何だか無性に嬉しく、精液を飲んだ直後のアリサさんを抱き寄せて再びキスをねだる。
「え!?嫌じゃないの?」
「ううん…全然…」
慈愛なのか恋なのかは解らないが、僕は無性にアリサさんが愛しく思え、柔らかく何度も唇を重ね舌を絡める。
当初驚いて若干引いていたアリサさんは、僕の要望に合わせたのか、はたまた別の感情かは解らないものの、恋人の様なキスに暫く付き合ってくれた。
◯ベッドイン童貞喪失その1
浴室から出ると、僕はアリサさんに身体を拭いて貰い、ベットに腰を下ろす様に指示をされる。
僕が指示通りに待っている間、アリサさんは部屋の隅で何某かの準備をしてベッドにやってきて、そのまま僕に覆い被さった。
裸の女性の肌は柔らかくしっとりしていて、想像していたよりもひんやり冷たい。
アリサさんはソープ嬢であるので、ベッドの上でもサービスしてくれようとするのだが、この時の僕は童貞の分際であるにも関わらず、既に『サービス』はどうでも良くなっていた。
一回射精して賢者タイムなのか、別の何かなのかは解らない。
ただ目の前の女性が無性に愛しい。
僕は器用に体を入れ替え、アリサさんの上に覆い被さり、本能のままにアリサさんの首筋にキスをし、次いで乳房、お腹とキスを重ねて、股ぐらに顔を突っ込む。
アリサさんの乳首は黒く大きく長い。
乳輪も大きいが張りはない。おっぱいも垂れていて張りがなく、仰向けになるとその殆どが外に流れた。
お腹周りも垂んでいてぷよぷよと柔らかい。風呂では気づかなかったが縦縞の様に妊娠線が入っている事から出産経験があるのだろう。
アリサさんの陰部は肉厚で黒ずんだ小陰唇がびらびらと外に大きく飛び出している。それを軽く吸って離すと小陰唇はゼラチンの様にぷるりと揺れ、塩味を帯びた粘液が割れ目から滲んだ。
「はあっ…あっ!はあん!上手ね…ここも舐めて…」
アリサさんはメスの甲高い声を挙げつつも、勝ち気な視線を僕に向けて、陰毛と包皮を指で掻き分け僅かばかりに顔を覗かせるクリトリスを舐める様に指示をする。
プロとして歳上としての意地なのだろう。
だが僕が、指示された場所を唇を尖らせて包皮から軽く吸い出し、露出したクリトリスを舌先でチロチロと味わうとアリサさんは膝をがくがくと震わせ、身体をピンと硬直させた。
アリサさんの身体を目で見て、唇や舌先で感じ取るのが嬉しいものの、心の中は不思議と静かで穏やかだった。
母犬が子犬を舐める様な感覚とはこんなものだろうか…等と考えつつも、心境とは裏腹に僕のペニスには血流が集まり、一度目の射精の時よりも更に荒々しく硬く再起動する。恐らくは深層にあるオスの本能が挿入を求めているのだろう。
アリサさんは身体を起こすと僕のペニスから垂れる涎を一舐めしてからコンドームを着けてくれ、再び倒れ込むと脚を開いた。
僕は誘われる様にアリサさんの膣口にペニスをあてがい腰を沈める。
「くふっ…あああっ…」
「ううっ…」
最早僕たちの間に会話は無く、浅い呼吸音と叫びに近い喘ぎ、アリサさんの体液が奏でる湿った音のみが室内に響く。