富嶽遠景


01: 名前:名無しさん 投稿日:2014/01/13(月) 09:26

悦子は娘の美香に乳を含ませながら横になってうとうととしていた。

昼下がりの春光がサッシュのガラス窓越しに柔らかく差し込み、母子二人を暖めていた。

その姿を柱の影から盗むように見る者がある。
悦子の甥の隆之介だった。
中学生最後の春休みに彼は、母親の妹であるこの若い叔母の家に遊びに来ていた。

悦子にとって、美香は苦労の末に授かった女の子だった。
夫の定雄が、外務省の役人ということもあって、家にいることが少なく、夫婦がともに暮らすという雰囲気が結婚当初より数えるほどしかなかった。
悦子は、だか
<省略されました>
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