月下囚人 〜双華〜 |
- 01: 名前:無名作家投稿日:2014/04/23(水) 21:14
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その時、私はまるで針のむしろにでも立っているような気がした。
周囲から注がれる視線。
まるで視線で穴でも開けようとでもしているような鋭い視線。
それが、四方から私に向けて注がれていた。
全身が心臓になったかのような感覚。
私は必死に走り出した。
その拍子にコートがはだけそうになり、必死に手で押さえて走る。
素裸にコート一枚という格好の私には、逃げることしか出来なかった。
その時、わたしは自分の足元が崩れていく感覚に囚われた。
僅かに聞こえてくる声が、わたしにこれが現実だと突きつける。
わたしはゴミ箱の影に必死に身を隠し、震える身体を精一杯縮めた。
このままだと見つかるのも時間の問題。
けれど、わたしは動けない。いまここから動いたら絶対に見つかってしまう。
ゴミ箱の陰に隠れていることしか出来ない。
ただ、見つからないことを必死に祈る。
生まれたままの姿――全裸でいることを人に見つからないことを。――香奈side――
ようやく、退屈な授業が終わった。
私は身体を眼一杯に伸ばして、身体のだるさを追い出す。
<省略されました> [全文を見る]
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