欅坂エロ小説 |
- 917: 名前:JM投稿日:2017/12/13(水) 04:15
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渋谷の街は、平日にも関わらず人が多かった。
この街は、いつ訪れても面白い。
喧騒に負けぬ声で携帯で通話するサラリーマン、チャラついた遊び人、大学をサボってきたと思われる若者達、外国人観光客、ハロウィンはまだ先だと言うのに、妙な格好をした者…(コスプレイヤーだろうか)。
特に渋谷の若者は、いつの時代も流行の先駆けとして着目されている。
しかし、人間だけではない。
建物や施設だって、時代の流れを見つめ続けてきた。
今から行く予定の渋谷109(マルキュー)も、時代の最先端を常に発信し続けてきた。
自分が学生だった頃、一人でここを歩いた時も、白いルーズソックスを履き、まるで日焼けサロンにでも行ったかのような真っ黒な肌に、過剰とも言えるほど濃い化粧をした女子高生達が、マルキューやセンター街をウロチョロしていた。
あの頃も今も、彼女らの外見やギャル語(今でもあれは宇宙人の言語にしか見えない)は理解できなかった。
今の時代では到底考えられない。
隣の理佐、後部座席の三人を見て、そんなタイプの女の子じゃなくてよかった、とつくづく安堵する。
東武百貨店の地下駐車場に車を滑らせる。
五千円使わないと二時間無料にならないらしいが、年頃の娘が四人だ。
それくらいは軽く飛んでいくだろう。
俺は苦笑しながら、エンジンキーを抜いた。
さっきも述べたが、渋谷は若者の街である。
だからこの一、二年で日本中の人気を掻っ攫った欅坂46のことを知らない人間がいるはずが無かった。
パニックになるということは、さすがに無いとは思うが、顔がバレて声を掛けられることはあるだろう。
ファッション雑誌のモデルに抜擢され、広く顔の知られている理佐は、特に危険だ。
デートと勘違いされないように、ネクタイを外し、いかにもマネージャーのように名札をぶら下げる。
マネージャー兼ボディーガードとして、彼女達の側に付きっきりでいるのが任務だった。
普段忙しい彼女達にとって、こうやって羽根を伸ばせる時間は大変貴重だった。
彼女達が行きたいと言った店には全て行き、欲しいと言ったものは財布と相談しながら買ってやった。
自分はあまりブランド物には興味が無いので、給料の使い道は貯金か、あるいはこうやって女の子に使うのがほとんどだった。
マルキューだけでなく、渋谷の街に繰り出して何軒か渡り歩いた。
一時間後、彼女達の手には、紙袋が幾つもぶら下がっていた。
中身は彼女達が欲しがった服やアクセサリーなどだ。
「すごーい!こんなに買ってもらっちゃった」
「なんかだんだん申し訳なくなってきてもうた…大切なお給料をうちらなんかのために…」
「せやで。お兄ちゃんには感謝せなあかんよ」
などと、がなちゃん達は大袈裟に話していた。
確かに今回の買い物で、福沢諭吉氏が数枚ほど財布を旅立って行ったが、彼女達が喜ぶ顔が見られるのならば、それで良かった。
車に戻ると、理佐は俺の前に躍り出た。
「ねえ、ちょっと後ろに乗ってくれる?」
そう言いながら、ニヤリと笑うのだった。
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