欅坂エロ小説 |
- 906: 名前:JM投稿日:2017/12/02(土) 05:04
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「あ、おかえり」
渡邉理佐は、俺の姿を認めてニッコリと微笑んだ。
真っ黒の滑らかな生地のシャツに、少々ダメージ加工の入ったデニムを履いていた。
サンダルを履くつもりなのか、スリッパの中は素足だった。
「ここで待ってたのか?」
「うん。だって、ずっと楽しみにしてたんだもん。待ちきれなくてうずうずしてたの」
「お前、いつからそんなキャラになったんだ」
「いいじゃん、別に」
今日は平日だったが、昨年度で学生生活を終えた理佐にとっては、もはや休日同然であった。
不運にも(世間的に見れば至極当然であるが)登校日となってしまった学生組と違って、自由な時間が多いのだ。
加えて今日はオフで、あらゆる仕事やレッスンなども無い。
仕事のことを忘れ、ゆったりと羽根を伸ばせる貴重な一日を、理佐は俺と過ごすことにしたらしい。
「まさか約束、忘れたわけじゃないでしょ?」
「ちゃんと覚えてるさ」
今度の休みの日に、一緒に買い物に行ってほしい。
そう理佐に頼まれたのは、今からちょうど一ヶ月前のことだった。
特に断る理由も無く、気軽にオーケーしたのだが、どうやら理佐の他にゲストがいるらしい。
それが誰なのかは、今まで聞かされていなかった。
「すみませーん!お待たせしましたー」
エレベーターの扉が開き、東村芽依と高本彩花と高瀬愛奈が降りてきた。
こちらもまた、可愛らしい私服だった。
「あ、やっと来た」
「すみません、準備に時間がかかっちゃって…」
彩花が申し訳なさそうに言った。
「この三人も一緒なのか?」
「そう。こないだの握手会の時に芽依ちゃんと仲良くなってね。でも、二人だけだとちょっと寂しいから、芽依ちゃんの友達も誘って、って言ったの」
「なるほど」
思えばこの三人は、理佐と同い年であるから、仲良くなるのも自然な気がした。
少なくとも沈黙は避けられる、と踏んだ。
それに、この三人とは高校を卒業する前に一夜を過ごした仲だったから、俺にとっても好都合だった。
「しかし珍しいな。いつもなら愛佳や葵と出掛けるところだと思っていたが」
「たまには違う子とも遊びに行きたいと思ったの。ほら、早く行こう?」
ヒール付きのサンダルに履き替えた理佐は、俺の手を取って車へと促した。
「理佐さんって、あんなんやったっけ?」
愛奈は目を真ん丸にして言った。
あまりにも自然な動作だったから、俺もひらがなの三人も驚いていた。
クールな一面しか知らない子にとっては、確かに衝撃だったかもしれない。
まだ素っ気ない感じはあるが、あれでも本人は『好き』という感情を頑張って出しているのであった。
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