欅坂エロ小説 |
- 25: 名前:名無しさん投稿日:2016/11/04(金) 22:42
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俺と梨加が一戦を交えていた頃、収録が長引いたらしく、幸運にも一部始終を見られることも、怪しまれることもなかった。もう一つ驚いたことは、あれほど濃密な時間を過ごしたにも関わらず、実際は30分と経っていなかったことだ。俺のことはまだしも、梨加がいないことに気付いて探したかもしれないが、そのうち皆で振りの確認なり、遊んだりして暇つぶしをしていたのだろう。これが1時間とかだったらまずかったかもしれない。きっとテレビ局内で大捜索が始まっていただろう。ひとまずホッと胸を撫で下ろす。
「あ、お兄ちゃん」
どこからか、感情の分かりづらい声がした。振り向くと、渡邉理佐が廊下に立っていた。
「やあ、理佐じゃないか」
「ねえ、どこ行ってたの?みんな探したんだけど」
「悪かったなぁ。近所に飯食いに行ってただけだよ」
やはり探されていたらしい。俺はあらかじめ考えていた嘘をついた。部屋を出る時に、誰に何を聞かれてもいいように梨加と口裏合わせをしておいたのだ。
「ケータリングあったのに」
「ここだけの話だが…あまりケータリングの飯は好きじゃないんだ」
「ふーん。で、梨加ちゃんと一緒に行ったの?」
「うん。誘ったら来てくれた」
「今、さらっと『うん』って言ったね」
「事実だからな」
理佐はフンと鼻を鳴らした。まだ納得がいかないという様子だ。
「そう怒るなよ。今度はお前も誘うから」
俺は理佐に歩み寄って、ショートヘアをひと撫でした。ようやく理佐は笑みを浮かべた。
「別に私は怒ってないよ」
「そうか。ならよかった」
「『私は』ね」
その時、近くの小部屋から長濱ねるが出てきた。欅坂46のアンダーグループのけやき坂(通称・ひらがなけやき)の唯一のメンバーである。
「あっ、お兄ちゃん!」
俺を見ると、ねるはピョンと軽く飛び跳ねた。いつものように腕に縋り付いてくる。友梨奈に引けを取らない甘えようだった。理佐は頑張って、というような薄ら笑いを浮かべて、どこかへ行ってしまった。助け船はなくなった。
「ちょっとお話しよ?」
「ああ、いいよ」
背中を押され、半ば強制的にねるのいた部屋に入れられる。さっきいた部屋よりも広いが、中はみんなの荷物だけが放置されていて、誰もいなかった。
「みんなはいないのか」
俺は独り言ちた。次の瞬間、ねるが抱きついてきた。
「ねえ、どこに行ってたの?」
「それ、さっき理佐にも聞かれた」
「だってずっといなかったじゃん…」
ねるは上目遣いで見つめてきた。目に少し涙が溜められていた。思わずドキリとしてしまう。
「心配したんだから…」
「梨加と飯食いに行ってたんだ。みんなにも声を掛けるべきだったな」
「ずるい…」
ねるは顔を埋めたまま、胸板を拳で叩いてきた。別れ際のカップルのようだ。いや、カップルでもあまりこういうことはしないかもしれない。
「ねるだって、お兄ちゃんと一緒にいたかったんだよ?」
「ごめんな」
俺はねるの頭を撫でた。ふわりと髪の匂いが漂った。少しでも機嫌が直ればいいと思った。ねるは顔を上げた。
「お兄ちゃん、チューして。それで許してあげる」
それがねるのセックスの合図だった。今までこう言われて、キスだけで終わった試しがない。それでもねるが許してくれるならばよかった。ねるの唇にキスをした。唇を重ねた瞬間、腰に回されていた腕が首に移った。このキスを待ち望んでいたのが伝わってきた。ねるは積極的に何度も唇を貪るように重ねてきた。
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