欅坂エロ小説 |
- 220: 名前:作者投稿日:2017/01/09(月) 12:34
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てきぱきと身支度を済ませ、次々と車に乗り込む欅坂の子達を見て、俺は感嘆のため息を漏らした。
「素晴らしいな。他のグループの子達も見習ってほしいね」
「私達も乗ろう?」
隣でフン、と鼻を鳴らした理佐は言った。
軽く繋いでいた手は、いつの間にかしっかりと握られていた。
「そうだな」
俺は頷き、車に乗り込むために、理佐の手を離そうとした。
ところが、理佐の手の力が緩まない。
見ると、理佐はただ涼しげに笑っていた。
「手、離して」
「ん?」
理佐は表情を変えぬまま、俺を見つめていた。
「さっき車までって言っただろう」
「車の中まで、でしょ?」
「どうせ仕事で一緒になるだろ」
「うん、そうだね」
どう頑張っても、理佐は手を離す気がないらしい。
困っていると、後ろから鋭い声が掛かった。
「あーっ!!」
声に驚いて振り向くと、友梨奈が俺達二人を指差していた。
振り向いた瞬間に、パッと理佐が手を離してくれた。
が、一番見つかってはいけない人間に見られてしまった。
緊張で思わず声が上ずってしまった。
「やあ、友梨奈」
友梨奈は肩を怒らせて、ズンズンと俺の前に来た。
頬をプクーッと膨らませている。
「んーっ。お兄ちゃん、見てたぞ。理佐と手繋いでるとこ」
「気のせいだよ」
理佐は涼しげに答えるが、それで友梨奈を誤魔化せるはずがなかった。
「気のせいじゃない!お兄ちゃん、ずるい!昨日一日お兄ちゃんに会えなくてずっと我慢してたのに!」
「昨日は友梨奈は特に忙しかったからなぁ。俺も本当は友梨奈に会いたかった」
「嘘つき」
理佐がボソッと呟くのが聞こえたが、聞き流した。
友梨奈の機嫌を直すには、嘘も方便である。
「お兄ちゃんんっ…」
友梨奈を抱き締めると、すぐに大人しくなった。
困った時はこうすればいいのだ。
「この後も会えるから、昨日の分の埋め合わせしような」
「うん。お兄ちゃん、大好き」
目を潤ませて上目遣いで見つめて来られたら、それだけで俺は充分であった。
友梨奈の方も、すっかり機嫌は直ったようだ。
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