欅坂エロ小説 |
- 1009: 名前:JM投稿日:2018/02/22(木) 03:05
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ここまでが由依視点での話になります。
寮に帰って、私はすぐに自分の部屋に籠った。
お兄ちゃんは声を掛けてくれたけど、とても話せる気分ではなかった。
誰とも話したくなかった。
一人になる時間が欲しかった。
ベッドに座り込んでしばらくして、ドアがノックされた。
「由依?入るよ」
理佐の声だ。
ドキン、と心臓が跳ねる。
私の好きな人が来てくれた。
でも、今の私には笑顔なんて作れなかった。
部屋に入ってきた理佐は、私の前でしゃがんで、顔を覗き込んできた。
「どうしたの。元気ないじゃん」
「……」
「私でよければ、相談乗るよ?」
理佐は優しく微笑みかけてくる。
胸がギュッと締め付けられた。
やめて。
そんな顔で私を見ないで。
何も言えずにいると、理佐の声のトーンが落ちた。
「私じゃ、力不足?」
「そんなこと…」
「ゆっくりでいいから、話してほしいな」
理佐の温かい言葉が、私の心に張られた氷を溶かしていった。
その溶けた水は涙となって、私の目から零れ落ち、後から溢れて止まらなくなった。
私は全てを理佐に打ち明けていた。
あのおぞましい出来事の全てを事細かに伝えていた。
話し終えた後、嗚咽を漏らし続ける私を胸に抱いたまま、理佐は静かに言った。
「ありがとう、話してくれて。辛かったよね…」
「怖かった。でも、逃げられなかった…」
「お兄ちゃんに言いな」
「でも…」
「大丈夫。お兄ちゃんなら、何とかしてくれるはずだよ」
確かに、私たちが頼れるのは一人しかいない。
でも、理佐に話すのにも気が引けたのに、お兄ちゃんに話すのはかなり勇気が要る。
それでも、話さないことには事態は進展しない。
私は大きくため息をついた。
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