欅坂エロ小説 |
- 1000: 名前:JM投稿日:2018/02/14(水) 12:10
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魔の手
私は満員電車が嫌いだ。
人混みが苦手というのもあるが、息の詰まるような圧迫感が嫌いだった。
見知らぬ人の体臭、体のぶつかり合い、薄い酸素。
最悪な環境の中で過ごすその数十分は、まさに私の一日の中で地獄だった。
他の皆より遅く帰宅する羽目になった私は、まんまと帰宅ラッシュに捕まってしまった。
ホームにできた長蛇の列を見て、早くも憂鬱な気分になった。
何とか乗り込むことは出来たものの、席に着くことは叶わず、私は負け組の一員になってしまった。
席に着けるか、着けないか。
これ一つで過ごし方、気分が大きく左右される。
誰が触ったかもわからない吊り革に捕まって、早く最寄り駅に着きますように、と祈るばかりだった。
*・*・*・*・*・*・*・*・*
異変は、電車が駅を発車してからすぐに起きた。
突然、何かが私の下半身に触れた。
スカート越しに触れてきたそれが、人間の手であることに気付くのに、時間はかからなかった。
ゴツゴツとしたから男の手。
触れられた瞬間、背中に悪寒が走った。
痴漢に対しては、大声で助けを求めるのが最善の策なのだが、私は咄嗟に叫ぶことが出来なかった。
「やめてください…っ」
か細い声でそう言うのが精一杯だった。
しかし、手は止まらない。
周りの人は、スマートフォンを見たり、イヤホンをしていたり、居眠りしていたりで、誰一人気付いていない。
私は一人、孤立無援の状態だった。
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