女性アスリートエロ小説 |
- 17: 名前:作者投稿日:2017/02/18(土) 00:28
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菜七子にとって初めての海外でのレースは、最高で4着という結果に終わり、良い結果とは決して言い難いものになった。
国内での成績が伸び悩んでいる彼女には、海外のハードルはとても高いものだった。
若手で経験不足とはいえ、期待に応えられなかったことが、菜七子は悔しかった。
一方、豊の方も2着に終わり、1着は逃したものの、大健闘を見せた。
「よく頑張ったね」
憧れの先輩に励まされても、菜七子の無念は晴れなかった。
「そんなこと…」
「初めての海外なんだろう。みんな最初はこんなもんさ。今日はゆっくり休みなさい」
それだけ言うと、手を振って歩き出した。
菜七子は意を決して、彼の背中に声を掛けた。
「あの!!」
予想以上に大きい声が出て、自分でも驚いた。
豊は振り向いた。
柔らかな微笑を浮かべている。
「今夜…お時間ありますか?二人だけでお話ししたいことが…」
「おっ、人生相談かな?」
冗談めかした軽い口調だった。
ベテランの余裕だろうか。
菜七子はそれどころではなく、口を真一文字に結んだままだった。
「わかったよ。すごく大事な話なんだろう。僕の部屋でゆっくり聞くよ」
「ありがとうございます!」
菜七子は心の中でガッツポーズをした。
しかし同時に、ここまで来たらもう後戻りは出来ないのだ、と悟っていた。
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