ヒーロー |
- 02: 名前:名無しさん投稿日:2013/09/02(月) 08:00
-
始まりは夏。
俺がもっとも嫌ってた夏。
海まで徒歩8分の自宅。決して都会と呼べる場所に住んではいなかった。
ピピピと鳴る目覚まし時計の音に起こされ、俺はむくりと起き上がり、洗面所へと向かった。
ボーッとしながら鏡を見ると段々自分の影が薄くなるように感じる。
今俺が死んでも誰も気付かねーんだろうなとか、今思えばバカみたいなことをずっと考えてた。
「おはよう、直人」
母は最近、俺に目も合わさずに挨拶するようになった。
別に気にしないけど。
「おはよう」
俺も素っ気なく返す。
言い忘れてた。俺の名前は橘直人。
自転車で五分だから。という理由で平凡な高校へ通う。
今日もサーフボードを積んだ自転車とすれ違いながら俺は高校へと向かった。
朝にも関わらず太陽がジリジリと俺の肌を焼く。蝉がうるさく鳴き叫び、歩く俺をさらに暑くさせた。
はあ、今日も学校か。
毎回、校舎の前に立つとため息が漏れ出る。
校舎に取り付けられた時計を見るとHR開始の5分前。
いつも通りの時間に着いた。
学校にも蝉はいる。
うるさく鳴き叫んでる。
あれ?でもおかしいな。
後ろの方が騒がしい。
蝉じゃない。人の声。気になって、後ろを振り返ると突然目の前が真っ暗になった。
自転車…と女の子?
「あー、あぶなーい!!」
「!?うわー!」
ごとんと頭が地面に落ちる。
あ、視界が暗くなる。頭が痛い。
でもそんなの全部通り越して、俺の意識はそこで途絶えた。
後ろを見て
-
-
|
|