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  記憶と時の欠片

04: 名前:SOUL投稿日:2013/07/31(水) 16:29
食べ終わったリンゴの芯をくるくると手で回しながらスマホを弄っていると病室の扉が開く。

「あ! また朝食の前にリンゴ食べたんですか?
前に朝食の前にリンゴを食べるのはやめてくださいと言ったじゃないですか」

「す、すいません。リンゴがあるとどうしても食べたくなっちゃって」

看護師さんは小さい子どもを見る親のような笑顔で俺を見ると朝食を運んでくれた。
白い病室に白色灯の蛍光灯が使われているので、食器はさらに純白で清潔感が溢れている。
病室の食事はおいしくないという固定観念を持っていたが、入院してみてその考え方は消えた。

「残さずに食べてくださいね」

「は、はい。頑張ります」

リンゴを食べた事による満腹感は多少ある。
それを察したかのように看護師さんは言った。
こう言われるとリンゴを食べたので全部食べられませんでした等という言い訳は通用しなくなる。

そして、看護師さんがこれまた笑顔で病室から出ていくのを見て俺は肩を落とした。
恐らく、いや、絶対に全部食べられない。
食事の時間は普段よりも退院願望が強くなる。
理由は言わなくても分かるだろう。

「はぁ……」

今日何度目のため息だろうか。
右手に箸を握り、朝食と対峙すると自然にため息が出た。
でも、食べるしかないと思い俺は気合いと共に朝食に手をつけた。

20分程、朝食という名の壁と激突して俺は諦めた。
窓際に飾られている花瓶の花に朝陽が射し込んで輝いている。
花にとって朝陽は朝食なのだろうか。

(確か、植物は光合成によってエネルギーを作り出し……)

成績が優秀ではない俺でも多少の知識はあるはずだと自惚れて思考を巡らせたがはっきりとした答えは見つからなかった。
というより、覚えていなかった。
一応、高校に入学するための基礎知識はあると思っていたが、どうやら無かったらしい。

いつからこんなにバカになったのだろうか。
小学校の頃はそこそこ優秀で通っていたはずなのに。
まぁ、それもいわゆる過去の栄光という事か。

「食べ終わりましたか〜?」

くだらない思索に更けていた俺の耳に届く声。
恐らく、看護師さんにはどういう光景が広がるのか想像できていただろう。
完食しているという期待が0だという事は声から伝わってくる。

「すいません。全部は食べられませんでした」

「あらら。やっぱりですか。これからは気を付けてくださいね」

看護師さんはそう言うと手慣れた手つきで食器を片付けて部屋を後にした。
俺は申し訳ない気持ちで一礼するとまたため息を吐く。

そして、スマホのスリープを解除すると目に笑顔で写る俺や亮、他にも学校の友達が写っている写真が飛び込んできた。

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