ダレも知らないオレの顔 |
- 48: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/03(火) 04:31
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普段顔も合わせない大幹部もヨシさんの誘いとあって
姿を現していた。
梅田は男達が揃った所に呼ばれるとすぐに
そちらの方へ行き、匠は暇を持て余すしかなかった。
「パパ!……」
二階から降りてきた女の子が騒がしいフロアに来て声を大にして言った。
「おぉどないしたん?アカリ」
アカリと呼ばれた女の子はそこそこのおめかしをして
降りてきた。今日の事について知らされていたのだろうか
「ちょうどええ!アカリちょっとこっちきぃ」
「なんよ?」
女の子は言われたとおりヨシさんの元へ行く。
「皆さん!存じ上げているとは思いますがうちの長女のアカリ言います」
「吉田朱里です…パパがお世話になってます」
朱里はそう言うとぺこりと頭を下げた。
黒髪が垂れ下がり、頭を上げると整った顔の美人さんが現れ、
ニコニコと笑みを浮かべていた。
いやいやこちらこそ…幹部の男達が朱里に返事をするなかで
匠はヨシさんに言われたようなブスッとした顔で一連の流れを見ていた。
「そや!朱里…あそこに男がおるやろ?あいつお前と同じくらいの年齢やねん
仲良くしたってや?」
ヨシさんは匠を見てそう言った。
一方の匠は一度目が合ってからすぐに下を向いて目を逸らす
「そうなんや…分かった…パパのお客さんやろ?
ほんなら仲良くせなな」
朱里は無愛想な匠を見ながらそうヨシさんに返した。
(タバコすいてぇな…)
匠の中では、朱里への関心よりもタバコが優り
玄関を出て夜風に当たった。
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