ダレも知らないオレの顔 |
- 01: 名前:ジョックロック投稿日:2013/07/30(火) 22:39
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以前、AKBグループと僕の関係という処女作を書いていたものです。
これから、少しずつ更新していけたらいいなと思います
よろしくお願いします
- 02: 名前:ジョックロック投稿日:2013/07/30(火) 22:52
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「きゃははは……ふふふふッ………」
青春…そんな言葉は俺には到底縁の無い話だ。
今、この空間の中で聞こえる女子の笑い声…
俺にはなんにも感じず、言葉を発することすら疎い俺には
それは空間を遮る不協和音としか思えない。
そう…俺は俗に言う「インキャラ」という奴だ。
そのインは隠でもあり、陰でもある。
学生の俺は、長髪にメガネ…そして猫背。
絵に書いたような隠キャラ……
………を演じている。
- 03: 名前:ジョックロック投稿日:2013/07/30(火) 23:05
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そう、学生の…俺は……だ。
もう一つのイン。
その「イン」を話すには、もう少し…かかるかもしれない。
俺の名前は……叶 匠
今はそれだけ覚えてくれたらありがたい。
あまりベラベラ話すのは性に合わないから…
オレ…叶匠のプロローグはここで終わりとする。
陰と隠…俺にはこの二つを併せ持ち生きる運命なのかもしれない。
- 04: 名前:チップ投稿日:2013/08/01(木) 16:23
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影の支配者的な臭いがしてますね。
続き楽しみです。
- 05: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/02(金) 00:30
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ピピピピッ…ピピピピッ…ピピピピッ…
朝の目覚まし音がけたたましく響く
匠の朝はそこから始まる。
匠には親がいない…物心ついた時には既に母親は病に侵され、
父親はそんな母親を見殺しにするように蒸発した。
そんな話も親戚のおじさんから聞いたことだった。
だから匠は両親との思い出をあまり覚えていない
(インを演じるのも…もう慣れた)
匠は鏡に映る自分ではない自分をみてそう考えた。
- 06: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/02(金) 00:41
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決して優等生ではない匠はタバコも内ポケットへ忍ばせている。
初めての彼女は中学の頃、歳上のヤンキーだった。
彼氏…というよりは、女の暇つぶしの道具にすぎなかったのだが…
学校に着くと、匠は丸まった背中で教室へと向かう。
「来たよ叶…クスクス…」
そう笑われるのも、もう慣れていた。
そんな中、決まって話掛けてくるヤツもいる。
妹尾 誠勝 (せのお まさかつ)だ。
「おはよう!叶君」
妹尾の目的は一つ、女子からの注目を浴びる事。
陰キャラの匠に近寄り、優しいアピールをしたいのだ。
匠は妹尾へ無言で会釈をすると、通りすぎる妹尾へ
「偽善者め……」
決まってそう吐き捨てる。
- 07: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/02(金) 00:52
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女子の妹尾への賞賛が始まる。
妹尾は爽やかで俗に言う雰囲気イケメンというヤツだ。
それでもクラスの女子は妹尾へ熱い視線を向けるヤツが多い。
チャイムが鳴り、授業が始まる…
それと同時に匠は睡眠態勢を作る……。
「え〜これはこうであるから〜」
授業を聞く気などさらさらない
高校一年の授業など、匠には興味がないのである。
「またアイツ寝てんじゃん…クスクス」
「誰かアイツに紙投げてみろよ」
標的を巧に絞り、あちらこちらからヒソヒソと声がする。
弱者の戯言を無視しながらひたすら睡眠をとる。
- 08: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/02(金) 01:01
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キーンコーンカーンコーン……。
放課を告げるチャイムが鳴ると、匠は鞄を手にすぐに教室をでる。
「今日も散々舐めてくれたな…あいつら…」
そう言葉を発した匠の目はまるで鷹のように鋭く変貌した。
家に帰り、丸まった背中をボキボキ音を立てながら伸ばす。
そう…あくまで陰キャラを演じているからだ。
プルルルッ…プルルル…
ふいに携帯が鳴る…
ピッ……
匠はすぐに通話ボタンを押した。
- 09: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/02(金) 01:28
-
「はい….……」
「私…今日は大丈夫?」
「大丈夫です…この前抉られた傷もヨシさんのとこで完治させました」
「……そう?ならいいわ……じゃあ夜の11時…いつもの場所で」
「分かりました……彩佳さん」
電話を切る……通話していた女の名前は梅田彩佳
匠の才能を見出し、スカウトをした腕利きの女性だ。
そして、匠がこれから向かう場所……
そこでもう一つの「イン」……。
その意味が分かるであろう。
- 10: 名前:大人投稿日:2013/08/02(金) 12:41
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内容に引き込まれます。
- 11: 名前:チップ投稿日:2013/08/02(金) 15:41
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普段は、牙を隠しているんですね。
「イン」が、どんな意味があるのか気になりますね。
続き楽しみです。
- 12: 名前:名無しさん投稿日:2013/08/02(金) 15:52
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AKBグループと僕の関係は書かないんですか?
見たいんですけど…
- 13: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/05(月) 01:21
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待ち合わせ前10分…
そこに姿を現した匠は、学校とは180度違った姿をしていた。
ライダースジャケットに下は真っ黒なレザータイツ…
タバコをふかしながら相手を待つ匠に、「陰キャラ」の面影はそうそうない。
タバコを地面に押し付けるとタイミングよく一台のカマロが姿を表す。
「待たせた?」
左ハンドルの外車から窓を開き、梅田が聞く。
普通、待った?と女は聞くが彼女の場合はいつも「待たせた?」と聞いてくる。
「いや、俺も今来たばかりなので…」
「そう……じゃあ乗って……」
彼女は無駄話を一切しない。
社交辞令が苦手な匠にはやりやすい相手なのだった……。
- 14: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/05(月) 01:29
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大人さん
ありがとうございます。
処女作が中途で終わってしまったので、空きをみて書いていきます
稚拙ですがよろしければ見てやって下さい
チップさん
ありがとうございます!
普段クラスでも大人しめなアイツが、裏ではこんな事してたら面白いな。
そんな発想から思いつきました!
匠とはなんなのか…これからもよろしくお願いします!
名無しさん
ありがとうございます
残念ながらムリですね。
過去スレが復元されましたら
かける…かもしれませんが…
自分はストックを作らないので
申し訳ないです
- 15: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/05(月) 01:41
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車内でも梅田と世間話はまずしない。
彼女は悪くいえば主人に忠実なイヌだ
決められた任務を的確に素早くこなすが、
自分から動こうとはしない。
全てトップからの指示で動くのだ。
サイボーグ……
彼女のことをそう呼ぶ人も少なくない。
カマロは国道を飛ばす…
最初はこの車のパワーに吐き気すら催す事もあったが、
もうそれにも匠は慣れた。
煌びやかなビル街を軽快に飛ばし、車は目的地へと向かう。
- 16: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/05(月) 01:57
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容易に分かるとは思うが、もう一つの「イン」……それは裏の顔だ。
誰にも見せることのない裏の顔…隠れた顔……「隠」
それが匠をカタチ作る二つの「ペルソナ」なのだ。
バタムッ!……
カマロから降りればそこからは匠が任務を遂行しなければならない。
彼の稼業……それは喧嘩師だ。
闘いに応じてマネーが変わる。
時には障害を負うことも必至な命掛けの裏稼業……
匠のいる世界はとてつもなく恐ろしい。
今日、課せられた任務…それは大手企業から重要機密を盗み、
それをばらまく事だ。
黒革のグローブを両手にはめ、彼の身体を張った任務が始まる。
- 17: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/27(火) 03:08
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まず第一の関門…『潜入』
どこから入手したかまでは知られてはいないが、
梅田から渡された社員証をエントランスでかざす。
「ピピッ!」
入場を許された音が一室に響く。
「いい?匠君…重要機密はおそらくビル最深部にあるわ」
「カタチとかは?」
「今の所掴めてないわ…とにかくビル最深部に向かって!」
「最深部…了解っす」
匠は音の立たない全面カーペットの床を味方につけ一気に目標へと駆ける。
しかし、そこは有名なブラック会社であり、見つかってしまえば厄介な事態になることは匠も理解していた。
「おい…例の案件どうなった…」
「あ…あのブツなら…もうすぐあの方の元に…」
たまたま聞き耳を立てた会話に重大なヒントを得た匠は、
目標点まで駆ける!
トントントントンッ!
響きが少ないのはとても有利だった。
しかし、前方にスーツの男を捉えた。
「お…おい!お前だ……」
全てを言い終える前に、匠は膝を顔面に打ち込む!
男に有無を言わせずに地面へ堕とした。
(間に合うか!……彩佳さん!)
<
<省略されました> [全文を見る]
- 18: 名前:ジョックロック投稿日:2013/08/29(木) 02:26
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目標点へ駆けていると、トランシーバーから梅田の声が…
「匠君!見つけたよッ!…20Fにある備品室!」
「備品室…分かりました!」
梅田の返答後、匠は残り数階の階段を三段飛ばしで駆け上がる。
「備品室!ここか!」
匠は社員証をかざし、手早くドアを開ける。
「彩佳さん!備品室入りました!」
「よくやったわ!後は重要機密ね…何か目立つ物はない?」
「目立つ物…ほとんどが段ボールです…目立ったものは…特に」
「そう……良く探してみて!元のファイルが無ければ二度手間よ!」
「ですよね……あッ!」
匠の視界に一つの段ボールが目に入った。
「彩佳さん!…赤丸で囲まれた配達届け?みたいなのがありました!」
「なんて書いてある?」
「えっと……ポルナレフ大阪支店?…大阪へと送るみたいです」
「ポルナレフ……」
梅田はそう呟くと、数秒してキーボードを叩く音が響く。
カタカタッ……カタッ!
「BINGO!匠君!それを盗み出して一階裏までダッシュ!」
「分かりました!……」
匠は段ボールを小脇に
<省略されました> [全文を見る]
- 19: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/02(月) 02:58
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任務は成功した。
そこから先は匠の知ったことではない…
手の甲を赤くし、膝にアザを作りながらもビルからは出てこれた。
梅田のカマロに乗り込み、流れる景色と煌びやかなネオンを目で楽しむ。
「匠君…お腹空いてる?」
突然の言葉に脱力する。
「まぁ…動いたので…」
そう返すと梅田からは「そう……」と、素っ気ない返答が帰ってきた。
しばらく車内は沈黙する。
匠はもうこの後の流れを分かっている。
一旦車をコンビニへと寄せる。
ビールやら食べ物やらを購入し、再び車は走り出す。
コンビニの深夜勤の女店員の瞬きの数が多かったのをぼんやり思い出しながら、
匠は車のエキゾーストノートの音に瞼を閉じた。
- 20: 名前:名無しさん投稿日:2013/09/03(火) 08:24
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しゃらくせえ!
- 21: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/08(日) 03:55
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「ボス…任務は無事遂行致しました…はい…ありがとうございます……いえ…いつでもお使い下さい…」
梅田の無機質な「着いたわよ」で目を覚まし、
辿り着いた場所はホテル。
これがいつもの流れになっている…
匠は上着を脱ぎハンガーへと引っ掛ける。
梅田は匠の知らない上層部と連絡をとっているようだ。
タバコをふかしながら天井を見上げる…
「食べないの?」
連絡を終え梅田はソファに腰掛ける。
「この一本だけ…吸い終わったら食べますよ」
匠がそういうと、普段通りの素っ気ない返答を返される。
「彩佳さんは?飲まないんすか?」
「どうしようかしら……その前に…浴びてくるわ」
梅田はそういうと小さい冷蔵庫に酒を入れ、
浴室へと入っていった。
匠はその後姿を眺めながら、
「行ってらっしゃい」
そう言葉を発した。
- 22: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 02:52
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時刻は午前三時を越えた頃…
匠は隣で体を預けている彼女を見やるとため息を一つ吐いた。
ベッドの下にはバスローブが二つ、床にはお酒の缶が転がっている。
街を照らしていた高いビルの数々もすっかり消灯し、
夜が更けたという事を示していた。
空は雲に覆われていて紫がかった色をしている。
隣で眠る梅田を起こさないように匠はベッドから下りる。
豆電球を点けて自分で脱いだものを履く。
高層階にある部屋なのでベランダはない
ソファに座りタバコに火をつける。
息を吐くとすぅ〜っと体内から青白い煙が出ていく。
自分の中にあるもやもやも煙と一緒に出て行けばいいのに……。
そんな事を考えながら灰皿にトントンと吸い殻を落とす。
「いッてぇ……」
今日の戦闘で負傷した膝をパチンッと叩き、
再びタバコをふかす……。
- 23: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 03:11
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「それじゃあ…また」
「お疲れ様…じゃあね」
酔いから覚めた梅田に家付近まで送ってもらい、
今回の戦闘ボーナスが入った袋を握りしめ、
家へと帰る。
「まだ5時か……まだ寝れるよな…」
匠は袋を開けずにそのままベッドに潜り込み、
再び眠りにつく。
匠にとってこの「隠」の時間というのは
普段溜まったストレスを解放するにはもってこいの時間であり、
普段のストレスが溜まれば溜まるほど効率が良くなっていく。
気分がスッキリした上に、自分の欲求まで満たす事ができる。
匠はそれをやり甲斐のある仕事と感じている。
叶匠は、知れば知るほど危ない顔を持つ男なのだ。
- 24: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 03:26
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ジャラジャラと流れる携帯のアラームで目を覚ます。
身体を起こすとカーテンから漏れる光が、朝の到来を告げていた。
そして朝が来るということは、叶匠が叶匠でなくなるという事の表れでもあった。
身支度をし、鏡に映る男を見る……。
ここからは「陰」の時間
スポットライトがあたらない
闇の時間の始まり。
リュックサックと家の鍵、財布、そして鳴らない携帯電話を持ち
灰色に塗り固めた心で、光の漏れる扉を開いた。
- 25: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 03:43
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相も変わらない教室の騒がしさに、
少し苛立ちを感じながら教室へと踏み込む。
クラスメイトは横目でチラッと匠を見たと同時に、
女共は匠が来ただけで何がおかしいのか笑い出す。
(また…笑われてるのか…)
荷物を置いている最中、アイツが来た。
「叶君!おはよう!」
妹尾だ…虚な作り笑顔で匠を見る。
丸まった背中のまま首をコクンと前に倒すと
妹尾は仕事を終えたように引き返していく。
「偽善者め……」
小声で呟いた。
妹尾への賞賛が始まる前に、匠はその空間から脱した。
少し徘徊してみる……
高校生活は楽しい…そんなものは思い込みだ。
来てすぐの匠の頭の中には既に不満しかなくなっていた。
- 26: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 04:16
-
授業など、ろくすっぽ聞かずに昼休みを迎えた。
匠が唯一好きな時間だ。
誰にも邪魔されずけなされず一人になれる時間。
腹を空かせた匠は学食へと向かう。
しかし、そんな匠に予期せぬ事態が起きた。
「あっ!!」
急な大声の後、何か冷たいものが胸のあたりを直撃した。
「冷たッ!…」
思わず声が出る…
「あぁ〜…私の飲み物がぁ〜…」
おそらく自分にブチまけたであろう張本人が落胆したような表情を浮かべている。
匠は身動きも取れずに、注目を浴びるハメになってしまった。
そしてこの状況を理解した張本人がハッとした表情で詰め寄る。
「あ…あのッ!申し訳ありませんでしたぁッ!」
女の大きい声が匠の目の前で響く。
深々と頭を下げる少女にチラリと目をやると、
「大丈夫です…では…」
不満をぐっと堪え、そう言葉を返す。
とにかくもうこの場にいたくはなかったのだが
そうさせてはくれなかった。
「何々?……あららら…これじゃあ風邪引くわよ〜」
どこかからそう言って先生が寄って来てしまう。
「あ
<省略されました> [全文を見る]
- 27: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 04:39
-
「あ…あのぉ…本ッ当にごめんなさい!」
「いや、もういいですよ…本当に…」
なりゆきで彼女と廊下を歩く羽目になっている。
「てか、…ついてこなくていいですよ?」
背中を丸めたままそう彼女に言う。
「え…あっ…!じゃあ…お詫びさせて下さい!」
「は?……」
「あの〜私のせいですし、そこはやっぱり誠意を尽くさねばと思いましてッ!」
「いや…そこまで大袈裟にしなくても…」
「いや!大袈裟でもなんでもないです!九分九厘私の巻き起こしたコトですし!」
匠はとりあえず一人になりたかったので、
「女の子に何かしてもらうのは…ちょっと…」
そう彼女を帰らせようと試みる
「そうですか……じゃあ…」
匠がようやく一人になれるとホッとしかけたその時、
「携帯出して下さい!」
「へ?……」
想定外の返答に思わず変な声が出た。
「は…はぁ…」
とりあえず出してみると…
「失礼しますッ!!」
そう言って携帯を奪う。
「え?…ちょっと…何して…」
素早い手の動きで携帯と睨めっ
<省略されました> [全文を見る]
- 28: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 17:11
-
その日の授業は、いつもよりもボーッとしながら終えた。
(あの女の子は一体……)
昼休みの衝撃的な出来事に気を取られていたのか、
いつもはイライラしながら帰る帰路を今日はあまり考えずに帰れた。
家に帰り、まずは丸まった背中をボキボキ鳴らしながら伸ばす。
次に度が無い眼鏡を外し、テーブルに座ってみる。
いつもと変わらない素顔になり、いつもと変わらない行動をする。
ただ一つ変わったことは、手に携帯電話を持っていることである。
鳴らない携帯電話と称した通り、普段から匠の携帯は梅田以外に
かかってくることはまずない。
だから携帯の必要性も感じていないし、毎月の料金にも困らない。
二ヶ月に一度来るかこないかの親戚のおじさんからの仕送り、
一週間に一度あるかないかの賞金で生活しているのである。
- 29: 名前:チップ投稿日:2013/09/09(月) 17:26
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このイレギュラーな出来事が起きましたね。
続き楽しみです。
- 30: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/09(月) 17:35
-
夜、コンビニで買ったカップラーメンとチャーハンを食べながら、
借りてきたDVDを見ていると、
ピロリンピロリン♪と携帯が鳴った。
「うぉッ!」
久しぶりに来たメールの音に内心感動しつつ、
そっと容器を置き、携帯を手に取る。
「マジで来たよ……」
そう言葉を発し、内容を開く。
知らないアドレスと、女らしい本文に
匠は確信した。
しっかりと謝罪の気持ちがこもっているメールかと思いきや、
名前の隣には音符の絵文字も散りばめられてある。
思わず匠もクスッと笑ってしまった。
匠にとってワイシャツの件などもうどうでも良かったのに、
彼女の真っ直ぐな態度を垣間見て少し心が穏やかになった気がした。
久しぶりにアドレスと電話番号を登録し、肝心な名前には谷さんと登録する。
「電話番号教えるって事は掛けて平気ってことなんだよな?…」
一人呟く自分にバカみたいだなと罵りながらも
そこには、どこかいつもよりも良いカオをしている自分がいた。
- 31: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/17(火) 01:49
-
翌日…
いつものようにアラームで目を覚ます匠。
昨日はあれから数回のメールをした。
同じ2年生ってこと、福岡から編入して来た事など
少しの情報も得る事が出来た。
なにより匠は久々にメールのやり取りをする事が出来たのが
感動だった。
いつものように仮りの姿に変身をし、
時間に猶予を持たせる。
そしてなんとなく五つ置かれた封筒の一番上を開けてみた。
報酬という名のファイトマネーは10万円入っていた。
「10万か……」
普通の学生だっら飛んで喜ぶはずの大金も、
感覚が麻痺している匠にとってはちっぽけなモノにしか思えなかった。
封筒にお金をしまい、財布には2千円ほどを残し家を出た。
- 32: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/17(火) 02:45
-
飲食の自由がある高校生は、
朝からパンやおにぎりを平気で食べる。
朝のホームルーム前にはパックの飲み物にストローを刺し、
輪になって騒ぐ上の位の生徒達が集団で群れている。
いつもはうるささに教室を出て行く匠だが、
そんな事も気にせずに、妹尾からの「おはよう」でさえも
「あ…うんおはよう」
と返せるようになっていた。
妹尾が訝しみながら二度見をしたのも滑稽に思えた。
(なんだろうな…舞い上がってやがる…)
自分でも分かるくらいなんだから相手に伝わらないわけがない。
それさえもどうでもよくなる。猫背が浮きそうになるのには
流石に気づいたのだが……。
- 33: 名前:ジョックロック投稿日:2013/09/17(火) 03:07
-
4時限目が終わり、待ちに待った昼休み。
昨日の衝撃的な出来事が頭に浮かんで来る。
深々と頭を下げた所とあの声がフラッシュバックする。
自分にバーカと罵りながらも、
少しの淡い期待を胸に学内食堂へと向かう。
しかし、曲がり角には彼女の姿は無かった。
(ま、そりゃそうだよな〜)
分かりきってはいたが、
曲がり角を尻目に食堂へと歩く……。
食堂は腹を空かせた生徒達で溢れ返っていた。
「早く来すぎたかな…まだ時間あるし…ちょっと引くのを待とうかな…」
匠はそう考え、一旦引き返す事にした。
紙コップの自動販売機でジュースを買うと、
ガヤガヤした自分の教室を見ながらそれを飲み干した。
そしてぼんやりそれを見ていると、
あっ!と何かを思い出した。
(そういえば…あのコが俺にひっかけたのって…紙コップだったよな?
匂い的に…炭酸の何かだった気が……)
昨日の出来事が鮮明に蘇り、
シメには彼女の謝罪がよぎった。
- 34: 名前:名無しさん投稿日:2013/09/18(水) 18:20
-
コイツからエロを抜くとこんなにもコメントが来なくなるもんなんだな
- 35: 名前:名無しさん投稿日:2013/09/19(木) 22:00
-
オラア!
- 36: 名前:果汁クソ%投稿日:2013/11/07(木) 19:13
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クソかもしれねえ
カスかもしれねえ
誰も読んでくれてねえかもしれねえ
けどよ
スレを建てた以上最後まで書くのが男ってもんじゃねーのかなあ
- 37: 名前:ジョックロック投稿日:2014/01/10(金) 02:21
-
賑わいを見せていた食堂も、昼休み終盤になれば
落ち着きを取り戻してくる。
匠は売れ残ったパンと唐揚げ棒を頼み
席についた。
今日は幾分自分に余裕がある。
少し辺りを見渡してみるとうちのクラスの大人しいコも
細々とお弁当を食べていた。
ピンクの容器とばば臭い風呂敷が目についた。
(ま、別に興味ないや…)
メガネの縁を手で上げるとパンと唐揚げ棒を平らげ、
自分のクラスへ戻る事にした。
むりやりな猫背は背中が少し辛いが、
今は『陰』の匠の為我慢するしか他ない……。
- 38: 名前:ジョックロック投稿日:2014/01/10(金) 09:48
-
教室につき、椅子に座るとあまり使わなかった左ポケットに腕を突っ込んだ。
メールが届いていた。
昨日の今日なので見なくとも予想はついていたが
案の定谷だった。
今日は暇ですか?という簡潔な内容のメールに目を通し、
暇です。とだけ返した。
なんで?どうして?を聞き返せばまわりくどいだろう
そう判断しての匠なりの配慮だった。
敬語に敬語で返すあたり、
匠には壊すべき壁が多いと感じる。
数分後にメールが帰ってきた。
なら!今日任務を遂行したいと思います!!
任務を遂行という文を見て匠も少し噴き出しそうになってしまう。
- 39: 名前:ジョックロック投稿日:2014/02/02(日) 15:35
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放課後、指定された場所に行く。
学生カバンで股の部分を隠しながら下を向く女の子を見つけた。
谷だろうか…?
ただ自分から声を掛ける気になれない。
なぜなら間違った時に言い訳をするのが面倒くさいから。
「あ!叶さん!」
聞き覚えのある声がして振り向くと
手を振りながら谷が歩み寄ってきた。
匠は、声を掛けなくて良かったとホッとした。
その女の子はその声に気付き、どこかへと行ってしまった。
「じゃあまぁ…とりあえず帰りましょ!!」
「あ…はい…」
陰らしく敬語で、返す匠。
しかし当人はそれを気にする事なく
歩き始めた。
匠も後ろをついていく。
自信なさげに背中を丸める地味なキャラと、
背筋をピンと張り世間体なんか気にしないと言ったように前を向く黒髪少女。
まわりからみれば対という言葉がこれほど似合うこともあまりないだろう。
- 40: 名前:ジョックロック投稿日:2014/02/07(金) 04:13
-
「えっと…お腹とか空いてます!?」
彼女は振り向きざまにそう質問を投げかけた。
「少しくらいは……」
本当は学食でまともに昼をとってなかったから
少しどころでは済まないのだが、匠はそう言った。
「じゃあ〜……」
彼女がそう言って提案した先は、
ファーストフード店だった。
周りも学生で盛況しているようで、
学生の放課後という感じが満載だった。
「何にします?奢りますよ!」
「いや…だから女の子に奢られるのは…」
「でも〜……あ、じゃあLのポテト代金出すので
一緒に食べましょう!これなら文句無いですね??」
「は…はぁ…」
彼女はよしと手を叩くと、財布を持ってカウンターへと向かった。
「あれ?あいつもしかして叶?」
そんな声が耳に入ってきた。
「え?あのコと叶!?…いやいやないない」
なんかムカついたが、
匠は丸めた背筋を伸ばし掛けて自制した。
相手にするだけムダだという事を唱えて、
注文を待つ谷を待つ事にした。
- 41: 名前:ジョックロック投稿日:2014/02/10(月) 03:18
-
ちょっと経ってから
お盆に頼んだものを乗せて帰って来た彼女に会釈する。
「いやいやラッキーでしたね!」
開口一番に谷はそう放った。
なんのことか分からないのでポカンとした顔で彼女を見ると
彼女はドヤ顏で、
「ポテトLよりちょっと多くしてくれたんですよぉ」
とニヤニヤしながら言ってきた。
「あ…そうなんだ…」
匠がそう返すと谷は
「いやぁ〜友達っていいものですね〜」
なんて言いながらポテトを口に運び始めた。
彼女が自分で課した任務とやらは
匠が得というよりは、彼女が得をしている気さえした。
「あちゃ〜…今月も給料底を尽きそう〜」
とにかく彼女は独り言が多い。
構って欲しいのか、癖なのかは分からないが
とにかく沈黙が訪れなかった。
「あの〜…」
「ハイ!なんでしょうか!」
「谷さんは…バイト何をしてるの…?」
匠がそう質問すると、彼女は
「売り子です!売り子!」
と言いながらポテトを掴んだ。
「売り子…」
「お陰様で声が大きくなりましたよ!」
「たしかに…声大きいよね」
<省略されました> [全文を見る]
- 42: 名前:ジョックロック投稿日:2014/11/04(火) 07:15
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「そろそろ出たいな…」
匠は後ろからのバカにされてるようなヒソヒソ話と
自分のせいで目の前の女の子が後で何を言われるか。
二つの理由から空になった箱とトレイを持つ
「え?もうですか?どうしよう〜まだ何も返せてない〜」
「いや…もう本当十分だから…ごめんね本当に」
「なぜ謝られるのですか!?謝るのは私のほうですよ」
「そんなことないよ…もう本当に気にしなくていいからさ
これ以上僕といてもなんのメリットもないから…」
匠はトレイを片付けると荷物を持ち外に出る。
自動ドアがしまりかけて、また開いた。
そして隣にはバッグを背負った黒髪の女の子…
「私!メリットとかデメリットとか…
そんなこと気にしてませんから!」
隣に来た女の子は目を合わさずにそう告げた。
「……。」
匠は返す言葉が思いつかなかった。
「聞こえてましたよ私にも…」
「……えっ?」
「でも私…自分が決めたからしてるだけなんですよ
別に嫌だとも思ってないしつまらないとも思ってないし
…そんなに悪い風に思い込まなくてもいいんじゃないです
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- 43: 名前:ジョックロック投稿日:2015/02/25(水) 01:34
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「今日は…ありがとう…」
感謝の意を伝える匠。
猫背で髪もボサボサ右半分がメガネで見えない男にも
「いえ!まだ私は全てを返せてないですから!
叶さんさえよければまたこうして埋め合わせさせてください!」
そうハキハキと言葉を連ね、トドメにはニコッと笑う。
「いや…もうホントに…」
そう言いかけた所で、
「いや…こちらこそ…また是非…」
そう言葉を訂正した。
それを聞いた目の前の女の子はお辞儀をした後に
「それでは私はこのへんで」
そう言って手を振りながら帰路へと向かっていった。
- 44: 名前:ジョックロック投稿日:2015/02/25(水) 11:22
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確かに谷真理佳という女の子は
ズケズケと人のパーソナルゾーンへと入ってくる傾向があるが、
いつも表の世界では誰にも関心を持たれない空気の存在だった匠にとって
初めて同じ学校の人と時間を共有したという出来事が大きく
そんなことなど全く気にもしていなかった。
ただ、心残りがあるとすれば
陰の仮面を被ったままこのまま彼女に接し続けることだ。
自分が裏の顔を持っていると知った時
彼女は匠と交流を続けてくれるのだろうか…
今の匠には到底言い出せることではなかった。
そして、そんな匠をもう一人の女が
掻き回していくことは今の匠には知る由もなかった。
- 45: 名前:ジョックロック投稿日:2015/02/25(水) 12:01
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家に着き、縮こまった身体を伸ばした時
上司の梅田から連絡が来た。
「匠君…私だけど」
「はい…なんでしょうか」
「今は家かしら?」
「はい…ですね…仕事ですか?」
「いいえ…今日は仕事の依頼というよりは
お誘いを受けた…の方かな」
「誘い…ですか…」
「ヨシさんがね、たまには息を抜けっていうから…一応あなたに連絡をしてみたんだけど
そういうの…君は望んでないよね?」
匠は梅田にそう言われたが、普段からお世話になってる人から誘われた以上
断るわけにはいかなかった。
「ヨシさんでしたら行きますよ」
「……そう…なら君の家の最寄り駅までいくね
時間は20時くらいでいい?」
「はい。それまでには用意も済ましていきます。」
梅田から通話が切れたのを確認し、
匠はベッドに横になった。
- 46: 名前:ジョックロック投稿日:2015/02/25(水) 15:01
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19時50分…匠は駅前でタバコをふかしながら
梅田のカマロが到着するのを待った。
学生服姿のカップルが行き交う中
匠はレザージャケットにジーパン。
ガードレールに寄りかかって煙を空へと排出していた。
少しして、聞き慣れたエキゾーストの車が匠の後ろに停車した。
「待たせた?…それじゃあいくよ…乗って」
匠の返答など聞く耳持たず、梅田はそう催促をすると
匠を乗せて夜の街を走り出した。
「あれ…携帯いじってるの?」
走り出して五分ほどして珍しく梅田から話しかけられた。
「あ…はい…メール来たもので…」
「珍しいわね…私から来る電話しか来ないって言ってたのに…
まさか女の子かしら?」
「まぁ…そんなとこですね…」
匠がそういうと梅田は「ふ〜ん」といい
それ以降目的地に着くまではカマロのエンジン音と
風を切る音しか車内に起きなかった。
- 47: 名前:ジョックロック投稿日:2015/02/27(金) 11:22
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30分ほど公道を走っていると、
どうやら目的地に着いたらしい。
シュッとしたスタイルのいいお兄さんがカマロを駐車場へと案内している。
カマロの隣にはキャデラック、コルベットと外国の高級車が揃っていた。
「吉田は中におりますどうぞお入り下さい」
シュッとしたお兄さんはどうやら執事のようだ。
洋風の屋敷とマッチしていてカッコいい男だ。
中に入ると、既に何人もの同業者が話を始めており、
梅田と匠に気付いた家主が近づいてきた。
「お〜無事来れたみたいやな」
先ほどのお兄さんに負けず劣らずのスタイルで
キリッとした目が特徴的な色男だ。
「お久しぶりです吉田さん」
梅田は手を握り挨拶をする。
「梅ちゃんそんな緊張しやんと…ラクにしぃ」
ルックスとは裏腹にコテコテの関西弁で話すオトコ
名を吉田基樹と言う。
「匠!相変わらずブスッとしとんなぁ」
梅田と挨拶を済ますと今度は匠の肩をポンポンと叩きながら
笑って話してきた。
「そうですかね…あ、ヨシさんこの前はお世話になりました」
「あぁ〜そんなん構わんよ…俺の
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- 48: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/03(火) 04:31
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普段顔も合わせない大幹部もヨシさんの誘いとあって
姿を現していた。
梅田は男達が揃った所に呼ばれるとすぐに
そちらの方へ行き、匠は暇を持て余すしかなかった。
「パパ!……」
二階から降りてきた女の子が騒がしいフロアに来て声を大にして言った。
「おぉどないしたん?アカリ」
アカリと呼ばれた女の子はそこそこのおめかしをして
降りてきた。今日の事について知らされていたのだろうか
「ちょうどええ!アカリちょっとこっちきぃ」
「なんよ?」
女の子は言われたとおりヨシさんの元へ行く。
「皆さん!存じ上げているとは思いますがうちの長女のアカリ言います」
「吉田朱里です…パパがお世話になってます」
朱里はそう言うとぺこりと頭を下げた。
黒髪が垂れ下がり、頭を上げると整った顔の美人さんが現れ、
ニコニコと笑みを浮かべていた。
いやいやこちらこそ…幹部の男達が朱里に返事をするなかで
匠はヨシさんに言われたようなブスッとした顔で一連の流れを見ていた。
「そや!朱里…あそこに男がおるやろ?あいつお前と同じくらいの年齢やね
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- 49: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/04(水) 03:13
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「すぅーっ……ふぅーっ…」
タバコをプカプカ吹かしながら考え事をする匠。
もし自分が普通の生活をして普通の両親と平凡に暮らせていたら…
(ああいう風にニコニコ笑っておべっかつかってたのかな〜)
朱里を悪く言うつもりはないが、匠の考えにはトゲがあった。
幼くして両親というモノに見放されてしまった匠は
本当に幸せだと思える瞬間が限りなくゼロに等しい。
歯を見せ顔をくしゃくしゃにした笑顔をした覚えがない。
顔の筋肉が強張っているんではないかというほどに
匠は笑顔を見せない。その代わりに眉間には力が入る。
喜怒哀楽という表現があるが、
それは匠にはなく、あるのは真ん中を切り抜いた
『怒・哀』の方が多い。
吸い殻をトントンと落とすと、
騒ぎの中へ入ろうと足を向けた。
「ん?………」
が、足を向けた先には先ほど見た美少女を視界に捉えていた。
「あっ…大丈夫やで?パパには内緒にしとくから」
「ん?………あぁそういうこと…」
匠は朱里に一服していた所を見られた事を悟ると
地面に目線を向け、女の横を通り過ぎた。
「朱里
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- 50: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/04(水) 04:17
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大人が沢山いるフロアにいても
匠はやることがない。
梅田は大幹部に囲まれて楽しそうにしているし
匠を気にかける素振りもない。
「匠!暇なら朱里の部屋でも覗いてきぃ〜や」
ヨシさんも酒に呑まれてこの有様だ。
「なんならカイてこいや〜!」
匠がその意味がわからない事をいいことに
ヨシさんはそんな事を言いながら笑っている。
幹部もなんだか笑っているし梅田もヨシさんの事を見ながら苦笑してる。
匠だけがその言葉の意味を知らないようだ。
テーブルの上にローストビーフが並べられていて
匠はそれをフォークで刺して食べた。
「うまっ…」
思わず本音が出る。
女の子の部屋に無断で入なんて匠には出来っこない。
それを分かってて言ってくるからヨシさんは意地が悪い。
「ホンマうるさいねんけど」
朱里が小言を言いながらフロアに降りてきた。
「退屈やんな?一人でご飯食べるのも」
向かいのテーブルに座って朱里もローストビーフを食べだす。
「まぁうまいねんけどなぁ」
口元を手で隠しながら笑う。
「朱里は
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- 51: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/04(水) 14:31
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午前0時過ぎ、パーティは終わり匠は家で横になった。
谷とのメールが途切れてからは、携帯もならなくなり
やることをなくした。
パックに詰めてもらったローストビーフを素手で食べながら
今後のことをぼんやり考えてみる。
………が、頭が回らなかったのか
気がつけば眠りに落ちていた。
匠は夢をみた。
場所は学校…女から熱い視線を受けている
なぜだろうか?普段から全く注目を浴びたことはない
悪い注目のされ方しかされない匠が、
なぜか視線を浴びていた。
左肩が重い…何かにまとわりつかれている感じがする。
「たっくん!」
色白な素肌と関西弁、これは間違いなく聞いた声だ
「朱里………」
やはりそうだ。ヨシさんとこの娘…朱里がまとわりついていた。
「叶さん…」
前方にはこれまたはっきりと見覚えのある顔
谷真理佳がいる。
「谷さん…ごめん…君に迷惑はかけられない…
俺は朱里じゃないとダメなんだ…俺のためにも、君のためにも…」
意味のわからない世界で意味不明な事を言っている。
それを聞いて悲しそうなカオをする谷
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- 52: 名前:ジョックロック投稿日:2015/03/05(木) 02:43
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夢に出てくる人物がタイムリーだっただけに、
匠は頭を抱えずにはいられなかった。
時刻は6:30
まだ学校に行くには早い時間帯だが
シャワーを浴びて朝飯を買いにいく。
家にはシリアルがあるがそれだけでは流石に足りない
育ち盛りの匠は朝・昼・晩を摂ることだけは決めている。
しかしコンビニ弁当が大半を占めるのだが…。
こういう時、一般家庭は母親が父と子供の為に
毎朝起きてご飯を振る舞ってくれるんだろうなと
羨ましくなることもある。
母親との記憶はまだ小さかった匠には覚えているはずもなく、
唯一それが形として残ってるのが叔父の家にある遺影だ。
綺麗な顔立ちをした容姿端麗な母だったみたいだ。
ではなぜ自分の家に遺影を置かないのか…
それは匠にとってもなんの思い入れがないから…なのかもしれない。
実家はもう引き払って今は別の住人が住んでいるし
家族写真やアルバムも残ってはいないし
叔父にはDVも頻繁にあったとも聞かされている
それでもそんな叔父は身寄りがなくなった匠を嫌がることなく育ててくれた。
中学生までは本当の父親のように接してくれていた。
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- 53: 名前:削除(-"-メ)投稿日:削除(-"-メ)
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削除(-"-メ)
- 54: 名前:削除(-"-メ)投稿日:削除(-"-メ)
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削除(-"-メ)
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