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- 09: 名前:お魚番長投稿日:2013/08/18(日) 02:10
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薄暗い室内に不気味と光るライト。客たちの体臭が入り混じったにおいと煙草のにおいが俺たちを出迎えてくれた。横に並び瑞希がこちらをチラリと見て来たので、無言で頷き歩を進める。
奥に進むにつれ音楽がはっきりと聞こえてくるようになった。腹の底に響くような音ではない。甘美な、脳を甘く溶かすかのような妖艶な音。それに熱気も伝わってきた。
「こ、これは……」
先に声を上げたのは瑞希であった。俺も声こそ出さなかったが、衝撃が走った。
目の前には狭い舞台。そこに裸の女がいたのだ。女は不敵な笑みを浮かべ周囲を侮蔑するかのように悠然と見渡している。
「おい、どういうことだ。これは?」
「そんなこと言ったって。ここで合ってるはずなんだが」
言い合いをしていると、周囲から視線が突き刺さった。明らかに邪魔者だといわんばかりの冷たく、排他的な視線。俺たちは頭を下げ、その場から足早に立ち去った。
「すまん。横の建物だった」
太陽の下で見たチケットには、場所が隣の建物であると表記されていた。俺は瑞希の腹部にエルボーをお見舞いするとそのまま歩き出した。
「待ってくれよ」
瑞希は腹を押さえながら着いて来た。
「ここか。おい、今度こそ本当にここでいいんだよな」
「お前もチケット見たろ? ここで間違いないはずなんだが」
俺たちの目も前には看板が取れかかったバラック小屋のような建物があった。
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