満州国に生まれて |
- 01: 名前:名無しさん投稿日:2017/05/07(日) 15:09
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これからお話しすることは、六十年も前のことなどで、私の記憶が怪しいかも知れません。また、ところどころ母から聞いた話や、私が調べて知ったことで内容を補っていることを、あらかじめお断りします。
一
父、清二が生まれたのは明治の終わりの一九〇〇年頃だった。その頃、中国はイギリス、ロシア、ドイツ、フランス、アメリカなどの列強諸国によって侵略されていた。
一八九五年、日清戦争に勝った我が国も、中国侵略に乗り出す。しかし、列強諸国によってはばまれた日本は、ロシアと決定的な対立をして一九〇四年、日露戦争が始まった。
激しい戦闘の末、多大な犠牲者を出して、日露戦争にどうにか勝った我が国は、さらに中国侵略を深めていった。一九〇五年のことだった。
そんな時代の中で育った父は、小さい頃から力自慢で、福島県二本松市の相撲大会などで頭角を現した。小規模な地主だった両親も、父の後押しをして、賞品の米や味噌をありがたく頂いた。
そして、十八歳を迎えた頃、相撲部屋にスカウトされて意気揚々と上京する。だが、はじめの頃は技がなくて、力の弱い者にも簡単に負けた。しかし、父はくさることなく技
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