ドラム缶
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08 ) 白楽天
[2013/09/14(土) 18:14]
  
  
 金魚の入った水槽のようなにおい。雨はまだまだ止む気配を見せないでいる。
 世界チャンピオンを夢見る拓哉は、まだ夢の世界から帰ってこない。
 すっかり『モトタク』で売れる芸能人を忘れてしまったようだ。

「そういやドラム缶。昨日の亀田の世界戦見た?」

 私の後ろで傘を差しながらボクシングのステップを刻む拓哉は、思い出したかのように尋ねてきた。
 私は「見ていない」と
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07 ) 白楽天
[2013/09/12(木) 20:44]
  
  
 十七歳でプロのライセンスを取れることを、私は知っていた。
 アマチュアでやり続け、オリンピックにいくことも可能だ。
 拓哉はどうするのか。つい先月に誕生日を迎えた時には訊きそびれてしまったことを、今訊いてみる。

「それもいいな。だけど減量は嫌だな」

 拓哉の身長は百八十センチちょうど。
 体重は七十五キロで、アマチュアとしてはミドル級に位置する。
 
  <省略> [全文]

06 ) 白楽天
[2013/09/11(水) 21:01]
 
 
 街全体が暗い。街灯やお店からこぼれる灯りがあるというのに、どうしてこうも暗いのだろう。
 大きな雨粒は私たちに容赦なく降り注いでいる。まるで空が涙しているかのよう。
 大粒の涙は何に対してそんな悲しんでいるのか。私には皆目見当もつかなかった。

「来年は受験生だな。志望校は決まってる?」

 私は無言で首を振る。
 将来の夢はない。子供の頃はお菓子が好きだったので、ケー
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05 ) 白楽天
[2013/09/11(水) 17:46]
名無しさん

お手柔らかに頼みますね

04 ) 白楽天
[2013/09/11(水) 17:45]
  
  
 一日の約半分をドラム缶の音を聞いていたことになる。
 それは今もだ。

 授業が終わり、クラスメイトは皆帰った。教室にいるのは私一人。
 宿直と呼ばれる残務を終えると、まるでこの世界に私一人だけが取り残された気になる。
 
 
 窓から校庭を眺める。運動部がいない校庭。ふいに虚無感が私を襲った。

「おい、ドラム缶」

 背後から聞き慣れた声がした。ほんの数
<省略> [全文]

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