妻の介護体験 |
- 01: 名前:名無しさん投稿日:2014/11/20(木) 21:40
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私は、ご老人ご自慢の「盗撮部屋」に閉じ込められていました。
ここにいれば、家の中で怒ることは全て見える。しかし、外の世界に働きかけられることなど、何一つ無いのです。
部屋の中は快適な温度のはずなのに、さっきから、掌で火照った顔をひらひらと扇いでは、無意味にスイッチを切り替えています。
おかげで、カメラの切り替えは、思うがままになりかけた頃、玄関のチャイムが鳴ったのです。
家中に響くチャイムは、直接、この部屋には聞こえません。厳重な防音が遮断してしまうのです。
部屋の防音は、いろいろと試してみました。
煩いほどの声を出しても、壁に耳を当てない限りわからないはず。
ですから、モニタにつないだスピーカーの音量は絞る必要がありません。
ピンポーン。
「来たか」
高性能のスピーカーが不必要なまでにリアルに再現する、軽やかで、でも、何かしらの嵐を含んでいるように聞こえるチャイムの音が、この部屋にも響いていました。
心臓を今にも止めてしまいそうな、刺激をはらんだチャイムが響いた瞬間、指が勝手に玄関のカメラに切り替えています。
「理子…… 」
ご老人は、
<省略されました> [全文を見る]
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