縄かけ |
- 01: 名前:無名作家投稿日:2014/04/21(月) 20:19
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縄掛け その1
偶然のひとつめは、隣の課にいる課長補佐の出向人事。
ロクに仕事もできないくせにセクハラ行為をくりかえす彼はOL全員の嫌われ者で、
その彼の出向を聞かされた私たちは意趣返しとばかり送別会を一次で切り上げ、別で
飲みなおして鬱憤晴らしをしたのだ。
偶然のふたつめは、幸崎さんが風邪で休んでいたこと。
同じ課で合コン好きな彼女はわりとお酒に強く、私と後輩の中野啓子が一緒になって
泥酔してもそれとなくストッパー役になってくれる。いつものように彼女を含めた3
人組だったら、あの店には寄らなかっただろう。
偶然の三つめは、給料日直後の週末で、二人とも開放感に満ちていたこと。
飲み会のあと、さらにはしごした記憶もあるが定かではない。いたるところに転がる
酔っぱらいにまぎれ、中野さんも私もすっかりデキ上がっていたのだ。だから、うち
に泊まりたがってついてきた中野さんが駅前で急に繁華街の一角に入っていったとき
も、私はとくに疑問を感じなかったのだ。
「早紀さん、ここですよー」
「なにが?」
雑居ビルの4階。“hedonism”と飾り文字入りのプレートが下がっ
<省略されました> [全文を見る]
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