なおぼんは見た 後編 |
- 01: 名前:無名作家投稿日:2014/04/16(水) 20:06
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京極様のご家族は、為次様と奥様、そして、長女の萩子(はぎこ)様のお三人でございます。
実は、奥様は後妻さんで、萩子様は奥様の連れ子なのでございます。
萩子様は三十歳になられたばかりで、奥様に似て、それはお美しく、ピアノなどもお上手で、活発な方でございます。
萩子様がいらっしゃると、ちょっと陰気なこのお家がぱっと光がさしたように明るくなります。
でも、昨晩、私は見てはいけないものを、またも見てしまったのです。
私の悪い癖・・・
為次様が少しお風邪をお召になって、伏せっていらしたんです。
萩子様が
「わたしがお父様のお世話をするから、なおこさんは、うつっちゃいけないからお部屋に入らないでね」
そうおっしゃってくださったので、お言葉に甘えてほかの家事をいたすことにしました。
旦那様のお熱も下がり、お粥を召し上がられるようになった夜のことです。
奥様は歌舞伎座にお友達と出かけていらっしゃって、遅くまでお帰りになりません。
旦那様のお部屋からお二人の声が聞こえます。
例によって、私は扉をそっと空けて、中を覗きました。
「お父様、汗が
<省略されました> [全文を見る]
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