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- 26: 名前:Ht-x-投稿日:2018/07/04(水) 00:29
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「なぁ、トラック先に行ってるけど大丈夫なの?」
引越しの流れを全く知らない僕は、小走りで駆けるサナに問いかけた。
「鍵がまだ2個しかなくて、なんでか知らんけどサナにはまだ持たせたらあかんって決まってんなー」
まだ手首を掴まれたままのこの状態は滑稽に見れるだろう。そして鍵をサナに持たせない選択をした同居人は間違いないと思った。
「酷いやろー、サナっぺに渡したらなんか怖いって」
日頃から友人からどんな扱いを受けているのか、違う大学に行ってからも昔と変わらないらしい。
「わかるわかる。俺もそうす」
同居人が既にマンションに着いていて、家電製品の受け取りを担ってくれているらしい。サナが荷物をゆっくり作っていたのも、その同居人がいたからなのか。サナの友人に会うと知っていたから、今日はかなりお洒落に気を遣ったつもりだ。鏡で髪型を30分整えたり、服を何度も着替えたりするのは合コンに行く時と同じだ。
「あの白いマンション!九階やねん」
サナの家を出て15分、ようやくマンションが見えてきた。サナの荷物を積んだトラックが既にハザードランプをつけて駐車している。
サナの足並みがさらに早くなった。するりとサナの手から僕の腕がすり抜ける。楽しみで楽しみで仕方ないんだろう。その姿を見ているとこっちも実家暮らしを辞めて一人暮らしがしたくなる。
「すごい綺麗だな。お洒落」
マンションのエントランスに入ると、壁一面に水が流れたガラスの壁が目に入った。大理石みたいな柄の光が反射する床はサナのヒールをコツコツ鳴らす。
「せやろー、ここに決めたんはミナやけど」
「ミナって同居人のこ?」
サナの口から固有名詞は山ほど聞いていた。1番出てくる名前はモモとミナ。エピソードも山ほど聞いていだが聞き流して忘れていたが、決定的に覚えていることがあった。
サナがインターホンを鳴らすとすぐにエントランスのドアが開いた。エントランスの中のエレベーターの前にはまた水が一面に流れるガラスの壁。
エレベーターに乗って9階へ向かう。めっちゃ可愛い子がおるねん、とサナが繰り返し言っていた女の子の存在。そしてその女の子の名前はミナ。
どんな子なんだろう。エレベーターには鏡があり、サナはまつ毛の向きを確認している。
サナより可愛い子ですらそんな居ない。僕の大学にも最強に可愛い子がいるが、そのレベルなのだろうか。
エレベーターが九階につき、ドアがゆっくり開く。緊張で口の中が乾く感覚。
サナの後ろについて廊下を進むと、開けっ放しのドアがあった。ここがルームシェアの部屋だとすぐにわかった。
足がすくんでサナとの距離がひらく。
僕はいつも緊張するとクールに澄まそうとしてしまう。思考が鈍りなにを話していいかわからなくなり、無口になってしまうからだ。
ひと足早くサナが中に入る。いよいよ部屋に着いてしまった。サナともう1人話し声が聞こえる。
ドアの1歩手前で立ち止まりどう動いていいかわからなくなった。
「はよ入りー!」と、サナが僕を呼ぶ。ほんとうは深呼吸をすべきだったんだろうな。
足をいっぽ進めて身体の向きを変えた。白い内装の部屋の中に、サナともう1人、彼女がいた。
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