欅坂46 1/21 〜私たちの恋愛戦争〜 |
- 219: 名前:沈黙大多数◆LCCnO.SU投稿日:2017/11/27(月) 05:13
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梨加ちゃんと、都内で夜ご飯。
実は予約しておいた新宿の高層ビルのレストラン。
「わ!すっごい!ねぇ!綺麗!」
梨加ちゃんは、都内を一望できる大きさに感動してくれている。
彼女のリアクションを見て、お金を貯めてきてよかったと心から思えた。
「ようこそお越しくださいました。ご予約の○○様でいらっしゃいますか?」
「はい!…そうです!」
堅い雰囲気のお店なんて、来たことない。
ドレスコードという言葉の意味もつい最近覚えたばかりだ。
通された場所は、女の子とのデートに最もふさわしく、最も背伸びしている場所だった。
綺麗な赤いタワーや、日本で一番高い塔も一望できる。
「すごーい…」
梨加ちゃんはずっとぎょろぎょろと目を動かしている。
「緊張してるの?」
「私…こんなところ来たことない…」
梨加ちゃんはまるで借りてきたネコのように背中を丸める。
しかし僕もほとんどこんな所に来ることはない。
なんでフォークがこんなに多いのかも全然分かっていない。
周りを見回すと、スマートな紳士や淑女が慣れた手つきで料理を食べている。
テーブルマナーを覚えておけばよかったと僕は後悔した。
僕たちは運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら、
なんとかこの場面を楽しむことができた。
周りにどう見られようが、僕たちは僕たちなんだからなにも気負う必要なんかないさ。
そう思うと、楽になったし、梨加ちゃんの話を余裕を持って聞くこともできた。
ぺぺぺのぺーのぺー!なんていいながら梨加ちゃんの今の感情を当てろ!
なんて無茶なクイズも言い出す始末で、梨加ちゃんは本当に楽しんでくれている。
「ぶぶー!…ハズレです!」
「えー?ハズレなのー?じゃあ正解は?」
「正解は…お肉が柔らかくて食べやすいなぁ…でした!」
「わっかんないよ!あははは」
「まだまだべりか愛が足りませんね!ふふっ」
いや、このクイズ当たる気がしない…
そんなこと思いながら僕は彼女が出す問題に答え続けた。
梨加ちゃんは成人してるけど、お酒はあまり飲まないらしい。
弱いのかな?なんて思いながら僕は白ワインを嗜む。
「ふわぁ〜」
梨加ちゃんが口元を隠してあくびをする。
「疲れた?」
「お腹いっぱいになったら、眠くなった」
「ふふっ…梨加って本当自由だね」
「そうかなぁ?…○○くんはそういうコ嫌い?」
「嫌いじゃないよ、自然体でいいと思う」
「そうなの?…よかった…」
「ん?なんでよかったの?」
「ううん…嫌われたらイヤだなぁって」
「嫌わないよ〜…梨加が嫌いなコなんていないって」
うん。それは本当にそう思う。
「ふふふっうれしい」
梨加ちゃんは寮だから、
あまり長居しすぎると門限に間に合わないかもしれない。
でも梨加ちゃんといると、ここだけ時間が止まっているんじゃないかと思うくらい和やかな空間が出来上がる。
せかせかとした都会の人達を見てきた僕にとって、
彼女の存在はとても和ませられる。
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