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全二話(第一話) |
- 01: 名前：名無しさん投稿日：2014/04/14(月) 20:29
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１
一台の車が早春の高原を駆け抜ける。
車窓が飛ぶように流れる。
「美奈子ちゃん、もうすぐ着くからね！」
運転席の川田が小さく言った。
助手席の矢口美奈子は、一週間前の社長との会話を思い出していた。
・・・・・・・・・・
「美奈子ちゃん、もう少しやってみないか？
キミを直接指名してくるクライアントもいるんだし・・・」
「そういっていただけるのはうれしいんですが、
わたしも4月で大学3年になりますし、ずっとこの世界でやって
いけるとは到底思えませんから、就職活動に専念しようと思って・・」
美奈子は、大学に通う傍ら、小さなプロダクションに在籍していた。
大きな仕事はないものの、地道な仕事をいくつかこなしていた。
「わかった。決意は固いようだね！
ただ、例の旅行のパンフレットの件だけは頼むよ！」
・・・・・・・・・・・・
社長の川田が、現場での立会いや送迎をすることはまずなかったが、
今日は、他ならぬ美奈子の最後の仕事ということもあり、
川田自らが名乗り出たのだった。
車が瀟洒なペンションの前に滑り込んだ。
美奈子は静かに降り立った。高原の空気はまだまだ冷たい。
今日はここで夏休み向けのパンフレットの撮影だ。
２
眩いフラッシュが焚かれる。カメラマンの指示が部屋に響く。
美奈子は、最後の仕事という感慨、そして感謝を込めて
愛くるしい笑顔をレンズに向けた。
涼しげなブルーのカットソーにカーディガン。
白いロングスカートが夏を思わせる。
撮影用の高いヒールを履く足首は折れそうなほど細い。
高原の美女は、最高の表情を見せていた。
・・・・・・・・・・
「いやあ、美奈子ちゃん！ いい出来だって、みんな喜んでたよ！
今日はもう一本あるから、二階で休んでて！」
川田に促され、美奈子は二階の部屋へ入った。
しばらくして、携帯がなり、川田は部屋を後にした。
美奈子はソファーを立ち、窓辺へと歩を進めた。
大きな窓から注ぐ陽光が、やさしく頬を照らす。
大きく背伸びをし、美奈子は深呼吸した。
と、そのとき、ノックもなくドアが開いた。
小太りの男に続き、カメラマンと照明を担いだ男が入ってきた。
先ほどのスタッフとは明らかに別人だ。
「キミが美奈子ちゃんね！ ほんとかわいいね！
じゃあ早速インタビューから行こうか！
まだカメラ回さないから、緊張しないで答えてね！
まず、キミみたいな子が、どうしてアダルトビデオ、しかも
ＳＭ、中出し、何でもありのハードレイプを売りにしてるウチの作品に
出てみようと思ったのか？ 理由を聞こうか？」
唐突な言葉に、美奈子は怪訝そうに言った。
「あのう、何のことでしょうか？
ちょっと社長を呼んできますので・・・・」
そのとき、特徴のあるエンジン音が聞こえた。
窓の向こうに、川田の車が走り去るのが見えた。
「オタクの社長もひどいねえ！ ウチの撮影は長いからって言って、
大事な女の子置いて、一度帰っちゃったよ！」
美奈子は全身の血が逆流するのを感じた。
逃げなければ・・・・ドアに目をやった美奈子は愕然とした。
ドアには、上半身裸の二人の男が仁王立ちしている。
肩や腕には、タトゥーが点在している。
「紹介するよ。大木と杉田・・・
こいつらは、うちが誇るレイプ男優だから心配ないよ。
美奈子は演技しようなんて思わないで、本気で抵抗していいから！」
カメラが動き始めた・・・
疾風のごとく、ふたりは美奈子に襲い掛かった。
美奈子は後ずさりする間もなく、二人に挟み込まれ、
スカートを捲くり上げられた。
サワーベージュのストッキングに包まれた下半身に冷気が刺さる。
ヒールがフローリングの床を何度も打つ。
スカートで顔まで覆われた美奈子は、くぐもった声で助けを求めた。
スカートが放され、美奈子の紅潮した顔をカメラが捕らえた。
二人は、美奈子を引きずるように廊下に出ると、奥の部屋を目指した。
カメラと照明が後を追う。
ハイヒールは廊下で脱げ落ち、片方は階段を転がった。
その部屋には、大きな椅子、そして天井から吊り下がったロープがあった。
哀願する美奈子の両腕は椅子の背もたれの後ろで縛られ、
華奢な足首も椅子の脚部に縛り付けられた。
美奈子を待ち受ける過酷な現実・・・いつもとは違う情欲に塗れたカメラが
美奈子に狙いをつけた。 続
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