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女優 |
- 01: 名前：名無しさん投稿日：2014/04/29(火) 23:30
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ある日の午後7時頃、銀座４丁目の交差点から数寄屋橋のほうへ歩いていた。
僕の前を帽子をかぶり、俯き加減に歩いている中年の女性が目についた。
その帽子は普通の帽子ではなく、両サイドが耳のところで折れ曲がり、頬にくっついた
ような珍しい帽子だった。大正生まれの母が女学校時代にかぶっていたような古い
形の帽子だった。追い越すときその女性の顔を見ると、なんと、女優のK.Tではないか。
老け役を演ずる名女優です。
人に顔を見られるのを極端に避けているような歩き方をしていたので、「変だな?」と思い、
追い越しかけたが歩調を緩め、彼女の左後方について歩いた。
すると、K.Tは数寄屋橋の近くにある映画館の前で立ち止まり、映画でも見る素振りだった
ので、僕もすぐあとについて入場券を買い、階段を昇っている彼女に「ご一緒させて下さい
ませんか?」と尋ねると「どうぞ、いいですよ」と彼女。場内は空いていて、観客はほんの少し
だった。映画は始まっていたので、無言のまま席についた。彼女は帽子をとらず、画面に
見入っていたが、両足の間隔が女性にしては少し開きすぎかな、と思うくらい彼女の左足が
僕の方
＜省略されました＞ [全文を見る]
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